時は4月(あ、もうだいぶ過ぎちゃったけど)。月の始めにはきっと、あちらこちらで新入社員に向けて経営トップが「贈る言葉」など話したのだろう。「入社式 訓示」でググるだけでもこんなのとかこんなのとかこんなのとか(リンク先はgoogleの検索結果から適当に取ってきただけで、特に意味はありません)。
「個の確立」「顧客志向」「プロフェッショナリズム」。言葉は違えど述べられているのは大体そんなところか。どれも当然のこと。すっかり忘れてしまったけど、私が入社したときも、そんな言葉があったような気がする。当然だけど、「ふーん」なんて醒めた感じで聴いていた記憶がある。当たり前なんだけど、当たり前すぎて心が動くには程遠い。「感動」というのが、自分が気づいていなかったことを知らされたり、自分ができなかったperspectiveでモノを見せられたりすることに起因するのであれば、「当たり前の言葉」に感動するのは難しい、というのが本心だ。
そんな風に、ちょっと醒めた目で訓示を聞いていた私だけど、下のような言葉を入社式で聞かされていたら、多分ものすごく感動していただろう、と思う。
はてなに入った技術者の皆さんへ(jkondoの日記)
当たり前ですが、どんな世界も自分が何かを始める前は自分が居ない状態で回っています。しかも、そこそこちゃんと回っているのです。何か新しい事を始める時、「その世界はあなた無しでもちゃんと回っている」状態から出発する事を忘れないでください。極端な話、「自分が生まれなくても地球は問題なく回っていた」のです。新しい領域に挑戦すると言う事は、自分が不必要な状態から、自分が必要とされる状態への変化を、自分の力で起こすという事なのです。
世の中に「自分が必要とされる場所」が用意されていて、その場所を見つけると、鍵が鍵穴に収まるように全てうまくいく、なんてのは幻想で。必要とされる場所は用意されているものじゃなくて、自分で作り出さなければならない。で、一度作り出したからってずっと安泰なわけでもなく、「自分が必要とされる世界」を維持するためには、常に努力し続けなければいけない。本当に、その通りだ。その世界はあなた無しでもちゃんと回っている。まずはそれを認識して、じゃあそこからどうするか、ということを考えていくことが、自分自身の立ち位置を探していく鍵になるのだろう。
ついでに。これって人間関係でも同じことなんだよな、と思う。「自分が必要とされる関係」なんて最初から用意されているわけではない。何もしなければ、世界は自分が居ない状態で、そこそこちゃんと回っている。自分が不必要な状態から、自分が必要とされる状態への変化を起こすこと、そのために努力することが、結局のところ「コミュニケーション」の本質なんじゃないだろうか。「努力なしに維持できる」という幻想が、人と人との関係を壊す原因になっているような気がしてならない。
以前友人が「理想の恋人と結婚するんじゃなくて、結婚する恋人と理想的な関係を作っていくんだ」ってなことを言っていた。今思い返しても名言だよなあ、と思う。「自分を必要とする理想の相手」を捜し求めるんじゃなくて、「お互いがお互いを必要とする関係」を築くために努力すると決心すること。重要なのはそ
の「意思」なんだと思う、多分。
ちなみに書きながらシードル(750ml)1本空きました。外で飲むとワインは大体半分で限界なんだけど、家で飲むと酔わないもんだね。しかし明日が怖いなあ。
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