2008-02-01

【南米 その1】旅の始まり、異国の匂い

冷蔵庫の中の食材を片付ける。保存可能なものは冷凍して、冷凍できないものは捨てるか、メモをつけてルームメイトに託す。最後に残った部屋のゴミを片して、普段はDrive wayに止めている車をガレージに入れたら、準備完了。後に家に人が残っているというのは、出発を随分気楽にするなあ、としみじみ。残った時間で買ったばかりのiPodにひたすらmp3と動画を詰め込む。なにせ5週間の長旅だ。「夏のパタゴニアはなかなか日が沈まないからね、ぶっちゃけ、夜は相当暇よ」とは、同じルートを去年旅した友人の話。文庫本も数冊詰め込んだけど、なるべく荷物は増やしたくない。頼りにするのはNintendo DSとiPod。早朝7時、Oakland発、LA、Lima経由のクスコ行き。乗り換え時間を含めてほぼ丸1日。いよいよ、旅の始まり。



経由地のLimaではLost Bagageが発覚。どうやら荷物のコンテナごとLAの空港に置き忘れてきたらしく、50人ほどの乗客の荷物が全て未到着。1時間あまり荷物を待ち続けた挙句、Bagage Claimの係員が突然何かを大声で伝えたり、それで乗客が一斉にカウンターに列を作ったり(Lost Bagageの書類を書くためだったらしい)、係員がパスポートを集め始めたり、と、突然発生した混乱状態の中、話される言語は全てスペイン語。通常なら英語とスペイン語の二ヶ国語でアナウンスがあるはずなのに。仕方ないので、スペイン語を理解しているらしい欧米人に尋ね、ようやく状況を掴む。到着早々のトラブル、これが南米の入り口での洗礼かあ、とそれでも微妙に心に余裕があるのは、5週間という長旅だから。ま、1日2日の遅れであれば、調整できるってもんです。



高度3800メートルにあるクスコは、その周囲をさらに高い山々で囲まれたすり鉢状の盆地の底に位置している。ぐるりと囲まれた山を見ていると、とてもそんな高地に位置しているとは思えない。その高度を思い知らされるのは、ほぼ全ての道が坂道となっている市街を歩いたとき。高山病予防の薬を飲んでいても、普段の半分ぐらいの速度でゆっくりと歩いても、少し歩くだけでたちまち息が切れる。歩いては休み、歩いては休み、を繰り返す。薬のおかげか、頭痛や吐き気といった高山病の症状が出ていないのが幸い。



数多のコロニアル都市と同様、クスコの街は中心におかれたアルマス広場とそこから放射状に伸びる道路からできている。いくつかの大通りを除いて、多くの道はとても狭い。そして、世界遺産である町並みを保存するためか、それらの通りの多くは昔ながらの石畳のまま残されている。細い道を両側から挟むのは、インカ時代に作られた石垣。研磨した石と石を、カミソリ1枚すら通らないほどの精度でピタリと合わせられている。見ているだけで息が詰まりそうな、そんな圧迫感すら覚えるほどの。日の光のある日中ですら、この道はいつのまにかどこか異次元に通じているのでは・・・とそんな気分になってくる。



中央市場の賑わいは世界共通。野菜、果物、肉、魚、そしてこまごまとした日曜用品。旅の途中の私が買えるものは少ないけれど、さまざまな匂いがまじりあった市場の中を歩いていると、それだけで心が浮き立ってくる。ああ、異国に来たんだなあ、ということを肌で実感する瞬間。

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旅の前半の写真はこちらでどうぞ。
http://picasaweb.google.com/torizou/SouthAmericaBestPart1

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