登場人物は数学の才媛ミルカさん、元気少女テトラちゃん、「数学が好きです。趣味は数式の展開です」という「僕」の3人の高校生。そんな彼ら/彼女らが、おしゃべりしたり数式をといたりという、数学の解説書なのかライトノベル風小説なのか、一言では言い表すのが難しい、不思議な本。
難解な数式を鮮やかに解き明かすミルカさんの章もおもしろいけど、「それって、そもそもどういうことなの?」というシンプルな問いを投げかけてくるテトラちゃんとの対話には、なかなか考えさせられる部分がある。
「素数に1は含まれない。それはわかりました。でも-まだ納得してません。どうして素数に1を含めないんですか。含めてはいけないんですか。素数に1を含めないrationaleな理由が分かりません。」
「ラショナル?」
「正当な理由、原理的説明、理論的根拠-です」
へえ、この子は-この女の子は、納得することの重要さをわかっているんだ
テトラちゃんに僕が話す「学ぶこと」についての意見にも、はっとさせられる。
「時間はかかる。とてもかかる。でも、それは、あたりまえだ。考えてごらん。数式の背後には歴史がある。数式を読むとき、僕たちは無数の数学者の仕事と格闘しているんだ。理解するのに時間がかかるのは当然だ。一つの式展開のあいだに、僕たちは何百年もの時を駆け抜ける。数式に向かうとき、僕たちは誰でも小さな数学者だ」
数学の面白さって、一見複雑に見える数式に手を加えてやることで驚くほどシンプルな式が導出される、その瞬間の気持ちよさにあると思う。数学ガールは、その気持ちよさを、とても丁寧に伝えてくれる。バーゼル問題、カタラン数、と耳慣れない、一見ややこしそうな問題が扱われているけれど、高校数学の知識があれば話についていくのに十分。
数学は好きだし得意だったけど、あくまでそれは「受験のツール」の枠内だったように思える。高校生ぐらいのときにこの本を読んでいたら、もっと数学の面白さに目覚めていたんじゃないかなあ。
元々Web上で連載されていたこの作品。本の一部はWebでも読めます。興味をもたれた方は著者のページへどうぞ。
ちなみにこの本を知ったのは、ニコニコ動画で初音ミク関連の動画をあちこち飛び回っていたら、数学ガールのテーマソングを作ってミクに歌わせた動画を発見したことから。
おまけ。この間教えてもらったパズル。これも、解けた瞬間は背筋がぞくぞくするくらい気持ちよかった。
2 comments:
答えは1000だね?この手の数学系パズル超好きです。
>masaさん
正解。こーいうの楽しいよねー
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